昔、言うことの聞かない自分の子を施設に入れたい、

という親がいた。その親はこう言った。

「私は数人子供がいるんです。この子だけでないんです」

その女の子も同席していた。

深々と帽子をかぶり、目を隠していたが、

頬には涙が流れていた。


私が、親を怒鳴りつけた最初で最後の、瞬間だった。


子供は親を選ぶことはできない。親も子供を選ぶことはできない。

教師は子供を選ぶことはできない。子供も教師を選ぶことはできない。

人はそれぞれ宿命を背負って生きている。

相手を嫌えば、嫌われる。

相手を信じれば、信じてもらえる。

相手を愛せば、愛してもらえる。

自分が求めれば、相手も求めてくる。

だが、自分が与えれば、相手も与えてくれる。

そう、鏡の中の自分のように。


だから、子供を信じるしかない。

たとえ裏切られても。・・・無条件で。


財津和夫 『サボテンの花』より

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